昨夜のカレー、明日のパン

著者名 木皿泉
出版社 河出書房新社
コメント

こちらも「夫が亡くなり残された嫁」が登場しますが、上記の「嫁をやめる日」とは環境が正反対といえるかもしれません。7年前、結婚から2年目の25歳で突然亡くなった夫。残された嫁テツコは、その後もギフ(義父のことをこう呼んでいます)と同じ屋根の下で暮らしています。二人やそれを取り巻く人たちの丁寧な暮らしぶり、つぶやく何気ない言葉、静かな時間の流れを感じさせる情景描写が心にしみます。ハラハラドキドキするような場面はありませんが、読んだ後は、切ないけれど、穏やかに心が落ち着きます。